2012年9月17日月曜日

an/eddy蓮沼千紘さんに会いに行く




Meet Project 第2回


今回はニットクリエーターの蓮沼千紘さんに会いに行きました。

蓮沼さんは、ニットを中心にさまざまな活動をされています。
自身のブランドan/eddy、古着を裂き編みするリサイクル活動RE:B(リビー)、ニット本作家、カルチャースクールの講師など等。
詳しい情報は↓↓ここをクリック!!

Blog : http://aneddyreb.exblog.jp/
shop : http://www.iichi.com/people/S8231151
ツイッター : @anceddy
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さて今回のインタビューは、さまざまな技法を駆使している蓮沼さんの視点で、ニットの面白さや難しさ、これからの展望などを中心に伺いました。


■an/eddy立ち上げ、フリーになったきっかけは? 

蓮沼さんは服飾系の学校を卒業後、まずは企業のデザイナーとして勤めていましたが、思い立ったら即行動! という具合に仕事を辞め今の形態での創作活動を始めたそうです。

きっかけとなったのは伊勢谷友介さん(REBIRTH-PROJECT)と遠山正道さん(PASS THE BATON)の対談。

雑誌NUMEROの企画で読み、自分にできることをしよう!と思い立ち、an/eddyを立ち上げる事にしたそうです。

フリーになってからは、自然に話しが舞い込んできて、ブランド以外の活動も幅広く仕事ができているそうです。

私自身蓮沼さんの事を知人から、「編むのがすごく速くて、寝てても編むことができる達人!」という噂を聞いていました。初めてワークショップに参加したときに、その速さを目の当たりにして「ううう! すごいー!」と思いました。

ブログなどでもその活動は垣間見ることができ、質の高い作品を短時間で次から次へとアップしていっています。彼女は思い立ったらとにかく形に! という行動派のように見え、自分もモノづくりしている身としてそのスタイルは本当に尊敬していますし、いつ寝ているのだろう、とつい心配してしまうくらいです。

蓮沼さんに私が感じたことをお伝えしたら、行動派と言うより、衝動で動いてしまうとおっしゃっていました。


■ニットの面白さとは? 

「アドリブがきいて、途中で、形を変えることが可能なことかな。」

さてさて、アドリブとは一体??

もともと蓮沼さんは文化服装学園出身で、入学当時は生地から服を作ることを勉強されていました。

「形を決めてミシンで縫う方法は、一度、生地にはさみを入れてしまったら、形を変えることができない。でもニットは、思うまま、感じたままに、やっぱりこっちのほうがかわいい! という気まぐれからでも、途中から形を変えられる。そこが何よりの魅力。」

おおおお! これは、ニットのことを熟知しているからできる技だ! と、感じました。
そこで、気になったことをバーンとぶつけてみました。


宮田

私はカットソーを作っていた時に、作り始めの段階である程度は想像できても、それ以上のものに仕上がったり、いまいちだったり、と糸の特性によって全然違っていたのですが、蓮沼さんはニットを作るとき、頭の中で想像したものが、どういった完成形になるのかいつ頃分かりますか?


蓮沼さん

私の場合二種類あって、一つは頭の中に具体的に映像でイメージがでてきて、それを現実世界に具現化する場合。もう一つは実験的に部分的に閃いたものをボディーにあてこんだりしながら、編みながら全体のイメージがつかめていって完成する場合があります!
多くの場合「ほら! かわいい! うんうん!」となることが多いです。頭の中に明確にイメージできたものほどそう思います。逆に、どうだろうな~と編み始めた場合は納得いかないときもあります。まれに衝動的に編んで何のアイテムにもならず放置してしまったものが、2年後くらいにそれがちゃんとアイテムになって(しかもベストな状態で)いきることもありますwニット科に進級してニットを始めた当初は、この糸可愛いけどいざ編んでみると想像どおりなかったいうこともありました。そんな失敗も経験してきた現在では、糸選びの失敗もなくなりましたね。


■ニットのどんな技法を使ってますか? また、手編みと機械編みの違いはなんですか?

「基本的にかぎ針を中心に作品を作ることが多いですが、棒針、編み機も使ってます。もっとこれからは作品の幅を広げたいなと思っていろんなことに挑戦していきます。」

◯手編みのメリット

どこでもできるし、テレビを見ながらもできる。あと、間違えても、簡単に直せるところ。デメリットは、人の手なので、いくら技術があっても、昨日と今日で編み目のループの大きさが変わってしまうこと。なので、編む人が変わるともちろん同じ針、糸で編んでも、出来上がりのサイズが変わってしまう。

◯機械編みのメリット

手編みと違って、誰が編んでも、同じものができるところ。慣れれば、とても早く、大きなものがつくれる。デメリットは一回失敗したら、(目が落ちてしまう等)ぎゃー!!! ともうーーいやだーとなることがあります。これは、私の思いも含めて書きました。

それぞれ良いところ、難しいところがあるので、熟知する蓮沼さんは、両方をうまく使い分けているように感じました。では、デザインはどう起こしているのだろうと気になったので、質問してみました。

宮田

デザインを考えるときは、糸からインスピレーションを受けますか?


蓮沼さん

糸からのインスピレーションが多いです! かわいい糸をみつけてこの糸だったらこんなの作ったらかわいいかもなど。また何をつくるか決まっていないのに糸を衝動買いすることがあって、ニット科あるあるとして「糸破産」(糸を買いすぎてお金がない、お金はないが糸はある)ような状況になることもw
編みながら周りにある糸を眺めて次のものをイメージしたりすることもあります。多くの場合編んでいる時にいろいろなことを閃きます☆ 身体が拘束されているほど脳は自由になるということですね!
閃いてはツイッターなどで発狂したりしていますが。。。。w


■これからの編み機の可能性について

「機械編みは編み進めていくと、裏面が見える仕組みになっていて、柄を作ったときなどは特に、表が見たいー! と思うので、表の表情が見えたり、手編みの時に出来ていることが機械編みでも出来たらいいな」

たしかに! 編んでいても、裏だけでは心配だよね。電子工作で改造することで出来るようになるものなのか、うーんもう少し時間が必要だ。

実は家庭用編機の存在は、もう過去の産物となりつつあります。普段着やちょっとしたものは全て家の中で作っていた時代とは違い、私達の親の世代ぐらいからは基本的には洋服は外で買うもの。

ですので、私たちの世代も編み機に触れることなく育っているので、ファッションを仕事にする人でも、知っている人は少ないのです。

私自身も、編み機を触ったのは最近で、知人から聞いて興味を持った後、偶然実物を手に入れることが出来ました。

そういう意味で、編み機を少しでも多くの人に触って体験してもらえる機会をつくりたいなと思っています。例えば、最近少しづつ増えているFablabのように、レーザーカッターや3Dプリンタ等の今までは限られた場所にしかなかった工作機械を所持し、その工作機械を使って来訪者と一緒にプロジェクトが出来る場所。機械から機会を生み出すニットカフェ的なものが作れたら・・・と夢を膨らませながら、蓮沼さんと話をしていたらワクワクしてきました!


*FabLabとは…ここをクリック! 編み機を実際に触れるきっかけはFabLabの存在があったからです。今後のFabLabの動きが楽しみです。



■これからニットでしていきたいこととは? 

「一般的に認知されているニットは、ウールで冬のものというイメージが強いですよね。よく、冬しか仕事がないのでは? ときかれることが多いんです。

でも実はニットはオールシーズン需要があって、寒い季節はもちろんのこと、夏は綿、麻、シルク、レーヨン素材のニットも一年中着ているはずなのに、なかなかニットというイメージは、ウールから離れられていません。これからニットを続けていく上で、イメージを変えることをしていきたいなと思っています。」

現に蓮沼さんは一年中編んでいます。

縦糸と横糸を組み合わせて作っていく織りに対し、ニットとは一本の糸を用いてループで作る。本来ニットとはプロダクトの「種類」ではなく「技法」のことなのですが、不思議なもので、ニットといえばカウチンセーター、好きな人への手編みのマフラーやセーターという、保温性に優れているというイメージからは、なかなか抜け出せない現状があります。

蓮沼さんと話していて、こういったイメージがニットの可能性をどこか狭めているように思いました。

ニットのイメージを変える、「ニット」に続く新しい言葉が生まれたら・・・?
ニットで出来ることを丁寧に伝えていけば・・・?

今はまだ具体的に何をどうすれば良いのか分かりませんが、編み研究の一貫として継続して考え続けて行こうと思います!


■そして最後に!! 新しい展開

今回のインタビューで話が盛り上がり、これからのニットに対してのお互いの想いを深く共有することが出来ました。

蓮沼さんがポロッと最後に「今までにない、ニットの専門誌を作りたいとおもってるんですよ」と。

そして既存のニットのイメージを崩していく仕事を二人でやっていければ、という話になり・・・・

ついにはニットのフリーペーパーを作る活動をすることになりました! まだまだスタートしたばかりですが、蓮沼さんの創作スタイルのようにスピードと質どちらも大事にしたいので、創刊は目指せ! 11月頭の予定です。完成したら皆様ぜひ御覧ください!

そして今回インタビューに協力してくださった蓮沼さんありがとうございました!


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